トルコの抱える現状をちらり

「トルコでは難民の状況をちゃんと分かってない人が多いんだよ
どれだけ大変な状況で国をでてきているか。
想像ができてない

少しでも安全ならばシリアに帰ってもいいのでは
という意見も聞くけど
それがどれだけ危険なことなのか
分かってないと思

シリアに帰ったら殺される
っていうことを理解できていないんだ」


そう話してくれたのはトルコで泊まっていたホテルのスタッフ

トルコの北東に位置するアルゼバイジャンという国の出身の彼は
友人と集まると よく難民に関することが話題に上ると教えてくれました


家賃の高騰や経済低迷は
難民に原因があるとされていて
それをそのまま信じている人もいれば
政府によるメディアコントロールだという認識の人もいます


トルコに暮らす難民の多くは
難民キャンプではなく
部屋を借りて生活しているのですが
その家賃はどうにか自分たちでまかなっています

だけど
家賃の高騰というわかりやすく降りかかる国民への負担は
反難民感情を高ぶらせます
(これがまたヨルダンなら少し話が違うんですが)


シリア人への差別や搾取
アンチからの圧力や人々の反応で気になる点は確実にあり
脅威を感じないかというとそうでもない


わたしがアタルくんと街中の公園で話しているときも
彼がシリア人だと分かると
表情が少しこわばったお母さんたちがいました


子どもそれを見て
どう理解して育つでしょうか

難民は理不尽さと戦いながら過ごしています

ただトルコ人にとっても「理不尽」があるからこその
それなのですが




28日 
トルコに住む無登録の難民に
退去命令が出されたことがニュースになっていたけど
それを思うと
アタルくんはぎりぎりセーフだったのか
こうなることが見えていて申請がおりたのか
もしかしてトルコ側の好意だったのかな 
なんて考えも浮かんできます


ただアタルくんは
「難民申請がおりた」というのとは
ちょっと違ったみたいで
外国人登録ができた、ということだったようです


これで堂々と街を歩き
医療機関も受診できるようになったという変化は
とても大きいものだと思いますが
イスタンブールからは出ることができない(無理ではないがとても厳しい)
という制約もまた明確になりました


シリア人難民が通う学校は以前は
NGOなど運営組織の方針に任されていましたが
今はトルコ政府の管理下に置かれ
トルコ語での教育が義務化されるなど
トルコ社会への迎合が余儀なくされている現状です



難民移民受入への寛大さを見せてきた経緯はありつつ
トルコではメディアや政治的なコントロールも
大きな影響を持ち
市民の反難民感情が高まってきています

同時に支援する団体や個人の声も上がってきているのですが


以前アタルくんに
「トルコの人は親切にしてくれていますか?」
と聞いた時
彼が答えを濁らせたのは
当事者の彼が感じるものはシンプルではないということだと思います


それでも彼は日本へ行くことを夢見て
心を強く保っています




前回の彼に関する記事で 
彼の写真は
もしも何かあったら嫌なので載せていませんでしたが
これで堂々とあげちゃおう


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